賃貸物件の壁はどこまで原状回復が必要?具体的な事例をもとに解説
賃貸物件から退去する際には「原状回復」として、入居時と同様の状態に戻しておく必要があります。
しかし、壁に傷が付いてしまったり、汚れやにおいが付いてしまったりすることもあるでしょう。
そこで今回は、賃貸物件の壁にできた画鋲の穴や家具の跡、さらにタバコによる黄ばみやにおいの原状回復について解説します。
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賃貸物件の壁に開いた画鋲の穴の原状回復義務
カレンダーやポスターを画鋲で留めた際に、壁に小さな穴が開くことは、誰にでも起こり得ることです。
また、エアコンの設置に際しては、さらに大きな穴を開ける必要があります。
故意ではなくても、物をぶつけて穴を開けてしまうこともあるかもしれません。
ただし、通常の使用による損耗と認められれば、借主が原状回復義務を負うことはありません。
画鋲やピンで壁に開いた穴
画鋲やピンで壁に開いた穴は小さく、カレンダーなどを貼ることも、一般的な生活の一部と考えられます。
そのため、画鋲やピンで開いた壁の穴に関して、賃貸物件の借主が原状回復義務を負わないことが一般的です。
ただし、原状回復義務の範囲は、賃貸借契約によって異なるため、ご自身の契約書の内容を十分に確認することが重要です。
エアコンを設置して壁に開いた穴
エアコンを設置する際は、ビスで固定するため、画鋲よりも大きな穴が壁に開きます。
しかし、借主が自分で設置した場合でも、エアコンの設置によるビスの穴については、原状回復義務を負わないことがほとんどです。
これは、エアコンが生活必需品であり、室内機を固定するためには、壁にビスを使用するほかないためです。
ただし、画鋲の穴とは異なり、ビスやネジで開けた穴は大きく目立ち、壁紙だけでなく下地のボード類にも影響を与えます。
エアコン設置以外でビスやネジで穴を開けた場合、借主の故意によるものと見なされ、原状回復を求められることがあるため、注意が必要です。
家具・家電をぶつけてしまって壁に開いた穴
入居時や模様替えで家具や家電を動かす際に、壁に穴が開いてしまうことがあります。
しかし、画鋲やエアコンの設置による穴よりも大きく、通常の生活範囲を超えて借主の過失によるものと見なされることが多いです。
故意に壁にぶつけて穴を開けたわけではなくても、原状回復のための修繕費用は借主が負担することが一般的です。
賃貸物件の退去時に原状回復をめぐってトラブルを避けるためには、普段から壁に物をぶつけないように注意して生活することが重要になります。
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賃貸物件の壁にできたポスターや家電の跡の原状回復義務
長い間同じ場所にポスターを貼っていると、壁に跡が残ってしまったり、テレビや冷蔵庫などの家電で電気ヤケができてしまったりすることがあります。
ただし、壁紙が日光や蛍光灯で焼けてしまうのは自然なことであり、賃貸物件の借主が原状回復の責任を負うことは少ないでしょう。
賃貸物件の壁に残ったポスターの跡
壁にポスターを長期間貼ったままにしておくと、その部分に跡が残り、周囲の壁紙と色の差が目立つことがありますが、通常、これは自然な経年劣化と見なされます。
壁紙は、日光や蛍光灯によって焼けることがあり、ポスターが貼ってあると焼け方に偏りが生じます。
もちろん、日光や蛍光灯による焼けは自然現象であり、賃貸物件の借主の故意によるものではなく、通常の生活を送っていれば避けられません。
したがって、賃貸物件の壁にできたポスターの跡の原状回復は、貸主側の負担でおこなわれ、借主が責任を負うことは少ないと考えられます。
家電によってできた壁の電気ヤケ
テレビや冷蔵庫の後ろの壁紙が黒ずんでしまうことがあります。
家電による壁の黒ずみは「電気ヤケ」と呼ばれ、通常の生活を送っていれば、自然に発生する現象です。
通常どおりの使い方をしていても跡が残るものであり、貸主が原状回復をおこなうため、借主がその費用を負担することはほとんどありません。
しかし、貸主から原状回復の費用負担を求められてトラブルになることも考えられます。
その場合、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」を根拠に申し立てをおこなうと良いでしょう。
借主が原状回復の責任を負わなければならないケース
日光や蛍光灯による壁の変色や家電による電気ヤケは自然な経年劣化であり、借主の責任ではありません。
しかし、クーラーからの水漏れを放置してできた跡や、指定された場所以外に設置した照明器具によってできた跡は、借主の不注意によるものと見なされます。
トラブルが発生していることを知りながら放置した結果できた跡については、借主が原状回復の費用を負担しなければなりません。
不明なことや気になることがあれば、トラブルに発展する前に、大家さんや管理会社に連絡して相談することをおすすめします。
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賃貸物件の壁にできたタバコによる黄ばみやにおいの原状回復義務
タバコを室内で吸っていると、ヤニで壁が黄ばんだり、においが染み付いたりしてしまうことがあります。
しかし、画鋲やポスターの跡と違って、タバコによる賃貸物件の壁の原状回復は、借主の負担となる可能性が高いでしょう。
タバコを吸って汚れた壁の原状回復
賃貸物件を退去する際、通常の生活による損耗については、借主が原状回復の責任を負わず、貸主が費用を負担することがほとんどです。
しかし、ヤニで変色した壁の汚れがひどい場合、全室の壁紙を交換しなければならないなど、原状回復に敷金以上の費用がかかる可能性があります。
国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「通常を超えた使用による消耗」による損耗について、借主が原状回復の責任を負うことが規定されています。
そのため、タバコによる壁の黄ばみやにおいは、通常の使用による汚損を超えると判断され、クリーニング費用を請求される恐れがあるでしょう。
ただし、賃貸借契約書に特約がなければ、貸主側の主張をそのまま受け入れる必要はなく、借主と貸主の間で交渉し、双方が妥協できる点を見つけることが重要です。
不当と思われる原状回復費用を請求され、トラブルが発生した場合は、行政機関の無料相談窓口に相談することをおすすめします。
タバコによる壁の汚れを防いで原状回復の負担を減らす方法
タバコのヤニによる壁の黄ばみやにおいを防ぐには、部屋でタバコを吸わないことが最も効果的です。
賃貸物件にお住まいの方でタバコを吸う場合、居室内で吸わず、ベランダや換気扇の下で吸うなどの工夫が必要です。
ただし、ベランダでの喫煙を禁止しているマンションもあるため、事前に確認することが重要になります。
また、空気清浄機を使用することも、タバコによる壁の汚れを防ぐのに有効です。
タバコのにおいを吸着するフィルターが付いた空気清浄機もあります。
さらに、普段から重曹などを使用して壁を拭けば、ヤニによる黄ばみを緩和できるため、こまめな掃除が重要です。
日頃から丁寧に掃除をしていれば、壁紙を張り替える必要がなく、クリーニングだけで原状回復が可能になる場合もあります。
また、タバコによる壁の黄ばみやにおいが借主の責任であっても、賃貸物件の原状回復には経年劣化や減価償却が考慮されます。
6年以上同じ賃貸物件に住んでいる場合、定義上、壁紙の価値はほぼなくなるため、借主がその費用を負担しなくても良いと判断される可能性もあるでしょう。
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まとめ
賃貸物件の壁に開いた画鋲の穴やエアコンを設置するビスの穴の原状回復は、貸主側でおこなうのが一般的です。
ポスターの跡や家電の電気ヤケも通常損耗とみなされ、借主が原状回復の責任を負うことは少ないでしょう。
ただし、タバコによる黄ばみやにおいは、借主に原状回復の義務が生じる可能性があります。
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